Fake News フェイクニュース

相原 博昭(副学長/物理学専攻 教授)

 

3月3日:国際スーパーコライダー研究所(ISC)の所長,ミナクシ・ボーズ女史が,ついにダークエネルギーの正体を 突き止めたと発表。今後は,その利活用のエンジニアリング研究に重点を移すという。ダークエネルギーは,宇宙の膨張によって無限に湧き出る究極のクリーンエネルギー。ダークエネルギーを主たるエネルギー源とすることで,人類はエネルギー問題から解放される。やはり,基礎科学は役に立つ。 ISCの有する世界最高エネルギーの加速器は,初期には全長 約30kmの施設であったが,技術革新とともに年々短くなり, 今では全長1km程度のマシーンとなっている。 今年も,ISCのトンネルの一部で栽培された白アスパラガスが市場に出荷されている。

   
宇宙のエネルギー構成。通常物質は,原子と原子核でできている。それらを構成しているのが素粒子である。素粒子の現パラダイム,標準理論は,これら通常物質の性質を説明できる。ダークエネルギーは,現宇宙のエネルギーの約73%を占める。「なお,これはフェイクでなく,観測による事実です。」

4月1日:シンガポールに本部を置くゴーグル量子AI社が,自社の量子コンピューターがシンギュラリティ(singularity, コンピューターがヒトの知性を越えること)に到達したと発表。まだ,再現性はないが,観測が状態ベクトルに影響を与えるので,仕方がないと説明している。

9月3日:私立東京大学の夏季入学式に,王元中国国家主席が病をおして出席。ひ孫の一人が,私立東京大学に入学するために訪れたという。王元国家主席は,ひ孫とのツーショットを桜の花の下で取りたかったというコメントを残している。ちなみに,私立東京大学の現学長マリーナ・プーチン女史は,学部入試をすべて推薦入試に切り替えた立役者である。自身も私立東京大学の前身に,サンクトペテルブルク(ロシア)の高校から推薦されて夏季入学した。私立東京大学では,国内外からの入学希望者数の大幅な増加に伴い,入学定員の見直しや国外キャンパスの拡充などを検討中だという。

10月12日:次期アメリカ大統領に,かの第45代大統領ドナルド・トランプ氏の孫であるバラク・トランプ氏が選ばれる。バラク・トランプ氏は,若くして民主党エースとして,アメリカの政治,企業,世論を動かし,国連の設定したSDGs(Sustainable Development Goals)を達成した世界的ヒーローであることは周知である。彼のエレガントな立ち居振る舞いもあって,第二のケネディの出現ともてはやされている。かの祖父にして,この孫あり。世界のリーダーとしての期待が高まる。

12月24日:世界大学ランキングの発表。今年も,私立東京大学が2位の精華大学,3位のスタンフォード大学を大差で引き離して1位となった。優れた研究力,教育力もさることながら, 4年前からランキング指標に取り入れられた,世界の公共性への奉仕ポイントGPSP(Global Public Service Point)の得点が群を抜いている。ただし,海外の一部の大学からは, GPSPの算出方法や総合ランキングでの重みの付け方などに異論も出ているようである。

1月3日:数物医工連携アストロ医療研究所が,民間からの融資を受けて設立される。数学,物理学,医学,工学の連携で,宇宙生命体研究を,ヒトを含む地球生命体の医療に応用する。記者会見で,初代研究所長のブラジル出身素粒子物理学者ヒトシ・ハナヤマ氏は,新研究所のルーツは,過去に存在した国立東京大学数物連携宇宙研究機構にあると満面の笑みを浮かべて語った。やはり,基礎科学は役に立つ。


注:この記事内容はフィクションであり実在の人物・団体とは関係ありません。

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理学部ニュース2018年5月号掲載



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