「海の温暖化」
-変わりゆく海と人間活動の影響-

日比谷 紀之(地球惑星科学専攻 教授)


日本海洋学会 編
「海の温暖化」
朝倉書房(2017年出版)
ISBN 978-4-254-16130-4

皆さんにとって海とは何だろうか。はるか昔,生命が誕生したころから現在に至るまで,私たちは常に海とともに暮らしてきた。しかしながら,共存していると思っていたのは人類だけで,私たちの活動が海のメカニズムを変えつつあると考えたことはあるだろうか?その変化が,私たちの生活にも悪影響を及ぼす可能性があるとしたら?

本書は,2014年に刊行された「地球温暖化」(日本気象学会地球環境問題委員会編,朝倉書店)の姉妹書として,日本海洋学会によって編集されたものである。海洋学会に所属する専門家が地球温暖化と海との関係について,水温や海流などの海の物理的特性や物質循環,海洋酸性化,海洋生態系や水産に対する影響だけでなく,過去の気候変動における海の役割や,現在の海洋環境問題などをさまざまな角度から分かりやすく解説している。少し専門的な内容ではあるが,市民生活に密接に関係した現象を取り上げ,図や写真を用いて視覚的にとらえやすく配慮するなど,海洋を専門にする読者でなくても興味深く読めるようになっている。

温暖化は,豪雨や猛暑,氷河の崩壊などの目に見える現象だけでなく,海の中でも静かに,着実に進みつつある。しかし,本書は決して悲観的な未来を予測するものではない。ぜひ一度,本書を紐解いて海のさまざまな現象を学び,現状を知り,あらためて海と向き合っていただきたい。人類は海無しには生きていけないのだから。

理学部ニュース2018年3月号掲載

 

 

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