星の最期の大爆発の瞬間を探して

諸隈 智貴(天文学教育研究センター 助教)

宇宙の年齢(約138億年)を1年とすると,人の寿命 (約80年)はたったの0.2秒でしかない。そんなまばたきほどの短い間であっても,宇宙は決して静的ではなく,ダイナミックな姿を見せる。その一つが超新星爆発と呼ばれる,(一部の)星がその一生の最期に迎える大爆発である。


  データの標準化と統合化のための合宿形式の国際ワークショップ

2011年のノーベル物理学賞(遠方超新星爆発の観測による宇宙の加速膨張の発見)の対象となった観測が行われた1990年代以降,超新星の観測は精力的に進み,現在では年間数百個もの発見報告がなされる。しかし,そのほとんど全ては爆発から数日経過したものである。というのも,超新星爆発が稀な現象であること,我々が「どの星がこれから爆発するか」を予言できない(厳密にいうとニュートリノを観測できれば事前にわかるがニュートリノの検出自体も難しい)ことが原因である。ではどうすればよいか。「できるだけたくさんの星をまとめて一度に観測する」のである。それには何が必要か。「一度に空の広い領域を観測することのできる望遠鏡とカメラ」である。

私たちの研究グループでは,世界有数の広視野観測能力を持つ中年の(昨年40周年を迎えた)木曽観測所シュミット望遠鏡と, 2012年に完成した2歳の優秀な息子KWFC (Kiso Wide Field Camera)を使って,超新星爆発の瞬間を捉えるプロジェクト木曽超新星探査(Kiso Supernova Survey:KISS)を2012年4月から行っている。爆発の瞬間の観測は非常に難しいため,1年に1個見つけられるかどうかの野心的なプロジェクトであるが,発見できればその科学的価値は非常に高い。観測では,6400万画素のデータが約5分おきに生成され,それをパソコンで処理する。主に3人の研究者と2人の大学院生・大学生が交替で担当し,この膨大なデータをチェックし,超新星の候補を見つけ出す。この珍しい現象を見落とさないよう,アマチュア天文家の方々にもボランティアでご自宅からご協力いただいている。また,年間100晩もの超新星探査観測を安定して行うためには,観測所員による望遠鏡・カメラの日々のメンテナンスも欠かせない。この三位一体の取り組みは,NHK長野放送局によるドキュメンタリー番組,さらにはドラマ「木曽オリオン」の題材としてとりあげていただくこともできた。あとは爆発の瞬間が観測できる幸運を待つのみである。


  観測所員の日々のメンテナンスにより,1974年から立派に動き続けている望遠

私たちの研究グループでは,世界有数の広視野観測能力を持つ中年の(昨年40周年を迎えた)木曽観測所シュミット望遠鏡と, 2012年に完成した2 歳の優秀な息子KWFC(Kiso Wide Field Camera)を使って,超新星爆発の瞬間を捉えるプロジェクト木曽超新星探査(Kiso Supernova Survey:KISS)を2012年4月から行っている。爆発の瞬間の観測は非常に難しいため,1年に1個見つけられるかどうかの野心的なプロジェクトであるが,発見できればその科学的価値は非常に高い。観測では,6400万画素のデータが約5分おきに生成され,それをパソコンで処理する。主に3人の研究者と2人の大学院生・大学生が交替で担当し,この膨大なデータをチェックし,超新星の候補を見つけ出す。この珍しい現象を見落とさないよう,アマチュア天文家の方々にもボランティアでご自宅からご協力いただいている。また,年間100晩もの超新星探査観測を安定して行うためには,観測所員による望遠鏡・カメラの日々のメンテナンスも欠かせない。この三位一体の取り組みは,NHK長野放送局によるドキュメンタリー番組,さらにはドラマ「木曽オリオン」の題材としてとりあげていただくこともできた。あとは爆発の瞬間が観測できる幸運を待つのみである。

KWFCの生み出す,1日あたり約100ギガバイトにも及ぶデータは世界的に見ても膨大なものであるが,天文学では,より大量のデータ,いわゆるビッグデータをリアルタイムに処理することが求められる時代を迎えている。私たちも,KWFCの後継機として,CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを用いた超広視野カメラ(新しい娘の名前を木曽町にゆかりのある巴御前にちなんでTomo-e Gozenと命名)の開発を始め,次は,人間のまばたきくらいの時間での宇宙の変動を捉える観測を行おうとしている。

 

 

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