ケンブリッジでの夏

鈴木 七海(地球惑星科学専攻 修士課程1年生)

パリで飛行機を乗り継いだために,ケンブリッジの部屋にやっと荷物を下ろしたころには日本の家を出発してから約24時間が経っていた。外は6月末というのに手足が凍えそうな冷たい雨がしとしと降っていて,大きな暖炉のある(あとで故障中ということが判明したが)自分の部屋に着いたときにはやっとたどり着いたという安心感もひとしおだった。私は学部四年生時の2016年6月末から8月末までの約二か月間,ここケンブリッジ大学(Univ.Cambridge)のPembroke-King’s Programme というサマーコースに理学部学生国際派遣プログラム(SVAP)の支援をいただいて滞在した。このサマーコースでは自分のとりたい授業を三つ選べ,ケンブリッジの学生と同じように期末試験を受けて単位を取得するというものだった。

カレッジの庭で行われるシェイクスピアの劇を友達と観に行ったりもした。この日の題目は真夏の夜の夢だった

 

私は普段おもに古生物の勉強をしているが,このサマーコースでは英語の方言の授業,環境工学の授業,進化・行動生態学の授業を選択してみた。どれも専門外なので不安もあったが,面白そうという理由に勝るものはない。どの授業でも自分の意見が常に求められるという点でたいへん新鮮で興味深かった。私が普段勉強していることに一番近い進化・行動生態学の授業では,教室でのレクチャーに加えて野外で簡単な実験を行い,結果を論文の形にまとめたりした。ケンブリッジはたいへん自然の豊かなところで,その野外実験も,教室から出て10分くらいの池まで,やたらとたくさん落ちている牛のフンを踏まないように気を付けながら歩いて行き,二つのグループに分かれて,池のカモやガンに5秒または10秒ごとに,朝食で出た食パンをちぎって与えるというようなものや,芝生の庭に,緑とオレンジのビーズを撒いて遺伝的浮動をシミュレーションするというようなものだった。古めかしい教室の中で受けるレクチャーも良いが,こうした自然の中での実験などの活動は,普段ややもすると忘れがちな自然そのものへの興味を強く思い出させてくれるように思う。

私が滞在したキングスカレッジの門。石造りで荘厳な雰囲気

授業以外では,歴史のある美しいカレッジを散歩したり街を流れるケム川をボートで下ったり,週末に電車で一時間半ほどの ロンドンに遊びに行ったりと充実した日々を送ることができた。学業においても学業以外においても自分の世界観が広がるような貴重な経験をさせていただいた。この場を借りて,この留学に際してお世話になっ た地球惑星環境学科の先生方,国際化推進室の方々にお礼を申し上げます。

 
2017年 東京大学理学部地球惑星環境学科 卒業
同年 東京大学大学院理学系研究科
地球惑星科学専攻 修士課程 入学


理学部ニュース2017年5月号掲載

 

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