「私たちは宇宙から見られている?「地球外生命」探究の最前線」

一丸 節夫(東京大学名誉教授)


Paul Murdin 著 (古田 治訳)
「私たちは宇宙から見られている?
「地球外生命」探求の最前線」
日本評論社(2016年)
ISBN 978-4-535-78782-7

この本の主題である「宇宙生物学」は,宇宙に存在するかもしれない「生命」を探索する学問分野で,物理,化学,生物,地球惑星,天文などがかかわっている。著者ポール・マーディンは,英国立宇宙センター長,王立天文学会代表幹事を歴任,多数の原著論文・編書・科学啓蒙書を執筆, 2012年王立天文学会賞を受賞した。

「探検することは人間の本性である」— 本書はこの序言にはじまり,地球形成後46億年にわたり,厳しい環境条件のもとで,生命がどのように誕生・進化・変成したか? 太陽系中の惑星や衛星の環境条件下で生命が誕生する(または,した)可能性は? を実測データをもとに論考し,系外惑星での生命の探索にすすむ。そして最終章「私たちは本当に孤独なのか」の問いかけで締める。

本書では,原著と異なり,図版や注釈が本文中に適宜分散して配置され,新しく小見出しが加わり,なめらかな訳文と相まって読み易くなっている。訳者古田治は一時期,かつて駒場にあった本学の宇宙航空研究所で科学衛星による電離層の研究に携わっていた。

この本が冒頭に「21世紀は宇宙生物学の世紀」と語るように,探索活動は近年ますます活発である。たとえば, 2009年の3月にNASAが打ち上げた観測衛星ケプラーは,太陽系にはないさまざまなタイプの惑星を多数見出した〔一丸節夫著「エネルギーの科学-宇宙圏から生物圏へ」東京大学出版会(2012)〕。

理学部ニュース2017年5月号掲載

 

理学の本棚>

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加