高山あかり博士,第7回井上リサーチアウォードを受賞

長谷川 修司(物理学専攻 教授)

高山あかり助教

物理学専攻の高山あかり助教は,「多探針STMを用いた1次元Rashba効果およびトポロジカルエッジ状態の研究」に対して第7回(2014年度)井上リサーチアウォードを受賞しました。高山助教は,これまで,スピン・角度分解光電子分光装置を用いて,Rashba(ラシュバ)効果を示す物質やトポロジカル絶縁体表面において現れるスピン偏極した電子状態の研究を行ってきました。Rashba効果やトポロジカル絶縁体の表面を流れる電子では,必ずその運動方向と物質表面の両方に垂直な方向に電子のスピンが向いています。このために電子が物質表面を流れるときに後方散乱がされなくなったり,あるいは,このスピンの向きを電場で制御したりできると予想されています。このため,電子の電荷だけを利用した従来のエレクトニクスに対して,電子のスピンを利用した「スピントロニクス」という分野が開かれつつあります。今回の授賞対象となった研究は,これらの系における電(荷)流やスピン流(電流を伴わない角運動量のみの流れ)の検出を目指します。とくに,2次元系である物質表面での伝導に加え,本研究では,1次元系にまで研究対象を拡張します。1次元系では,伝導電子のスピンの向きに起因するさまざまな興味深い現象が際立って見えると予想されています。具体的には,多探針走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて,ビスマスやトポロジカルエッジ状態の存在が予測されているシリセンなどの端面に沿った電気伝導をスピン分解して測定する計画です。本研究は,これまで困難であった1次元系の伝導特性を明らかにするもので,将来のデバイス応用などの観点からも,極めて重要な意義をもちます。

このほか,理学系研究科をご修了されました,京都大学理学研究科 学振特別研究員 瀧川晶さん(地球惑星科学専攻)も,井上研究奨励賞を受賞されました。誠におめでとうございます。                            広報誌編集委員会

 



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