研究渡航記@美しい街ペテルブルク

島田 真樹(化学専攻 博士課程2年生)


私は西原教授のもとで発光性のケイ素化合物を研究してきた。この分子を研究するのは面白いが,他の元素,とくに金を含む錯体に注目してみたい気持ちも年々大きくなっていた。日露学生交流プログラム(STEPS)がロシアへの留学援助をしてくださることを聞いた私は,サンクトペテルブルク大(Saint Petersburg State University)で錯体を研究しているセルゲイ・チュニック(Sergey Tunik)先生に滞在をお願いし,快諾いただけたのでSTEPSに応募,晴れてロシアに渡航することになった。

研究室集合写真@サンクトペテルブルク大。右端が著者

 

2016年9月末,日本から合計12時間のフライトでサンクトペテルブルクにたどり着いた。ロシアでは私はいくつもの困難に直面した。第一はやはり寒さで,日本より10℃も寒い気候のため体調を崩すこともあった。第二は言語の壁であった。大学内なら英語でなんとかなる場合も多かったが,普通の場所では当然ロシア語のみである。ある程度勉強してきたとはいえ,ロシア語での意思疎通がなかなかできず苦労した。

しかし,ロシアの人は優しい人も多く,色々な場面で助けていただいた。研究室メンバーは建物案内や装置の使用法などを優しく教えてくれたし,駅での切符の買い方を英語で教えてくれる通りすがりの人もいた。寒い地でも人の温かさに触れることができた。

ペテルゴフ宮殿のサムソン像と大宮殿。大学のすぐ近くにある世界遺産

 

研究は金原子を含む錯体を合成し,構造解析や発光特性の調査などを行った。初めて扱う化合物ばかりで,研究室入りたてのころのようなワクワク感とともに研究を進められた。またチュニック先生のご好意によって私の研究内容を発表・討論させてもらえたことも大きな経験になった。

また,休日に街へ出かけるとそこはロシア文化のお膝元で,街中を歩くだけでも感動した。ペテルゴフ宮殿などの帝政ロシア時代からの美しい建築物はもちろん,エルミタージュの美術品,マリインスキー劇場といった音楽・バレエなど,街中が芸術で溢れていた。

短い期間だったがすばらしい文化と人の温かさがある街で研究を頑張れたので,学業はもちろん人生の視野を広げられた貴重な経験になった。

最後に留学を受け入れてくださったチュニック先生および留学を援助してくださったSTEPSの皆様にこの場を借りて感謝いたします。

 
2013年 東京大学理学部化学科 卒業
2015年 東京大学大学院理学系研究科
化学専攻修士課程 修了
2015年~ 同博士課程在籍
2015年~ 化学人材育成プログラム 奨学生

 


遠方見聞録>

 

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