研究科長・学部長あいさつ

2017年(平成29年)3月31日をもちまして,第45代理学部長・理学系研究科長を退任いたします。この2年間,何とか大過なく職務を果たせましたのは,星野真弘,山内薫,山本智の3 名の副研究科長,長谷川哲也,村尾美緒,榎本和生,井出哲の4名の研究科長補佐,相原博昭副学長,小澤岳昌総長補佐,戸谷友則総長補佐,常行真司教授の企画室関係者,瀧田忠彦事務部長を中心とする事務部の優秀なスタッフのおかげだと感謝いたします。また,建設的な意見をいただいた専攻長の皆様,率直かつ真剣に議論いただいた教授会メンバーの皆様にも深く感謝いたします。URAの皆さん,国際化推進室の皆さん,広報室の皆さん,情報システムチームの皆さんにもたいへんお世話になりました。

この間,教育研究と研究科の管理・運営を両立させるために,朝早く来て大学にいる時間を長くするとか,理学部2号館と1号館の移動時間を短縮するためにマイチャリをフル活用するとか,それなりの工夫をしましたが,すっかり慣れてしまい,私の日常になってしまっています。理学系研究科の研究科長職はそれなりに仕事が多く大変でしたが,いっぽうでは,多くの専攻・施設をまわり,そこで最先端の研究を知ることができたことは役得だったと思っています。皆,本当に面白い研究をしていて,とにかくわくわくしました。もうひとつ再認識したのは,理学系研究科は素晴らしい施設をもっているということです。東京大学外にある施設としては,小石川・日光植物園,三崎の臨海実験所,木曽観測所,チリ・アタカマのminiTAO施設を訪問しました。研究も素晴らしいのですが,社会に対するアプローチも素晴らしい。こうした施設の取り組みによって,東京大学が地元の人たちに愛されていることを肌で感じました。

歴代の理学部長・理学系研究科長の中で,多分私だけが体験できた嬉しいことがあります。それは在職中の2年間にわたって,理学系研究科出身者でかつ理学系研究科で教員として働いた(ている)研究者がノーベル賞を受賞したことです。1年目は宇宙線研究所長の梶田隆章先生のノーベル物理学賞の受賞です。梶田先生は一貫して理学部・理学系研究科の教育に携わって頂いています。梶田先生の受賞は,全学のパーティー時にその情報が流れ,慌てて祝辞を書くために研究科長室に戻りました。2年目は,大隅良典先生のノーベル生理学・医学賞の受賞です。大隅先生は, 1977年から1988年まで理学部生物学科で助手・講師を務めていて,前半は私の大学院時代とぴったり重なり,今も親しくさせてもらっています。前年から理学部・理学系研究科の諮問委員をお願いしていました。ノーベル賞受賞後の会見で,「先生の研究は何の役に立つのか」と聞かれて,梶田先生は「知の地平を広げる」と答えられ,大隅先生は「役に立つという言葉が社会を駄目にしている」と反論されています。これらの言葉は,理学研究が依って立つ精神の発露だと思っています。これらの発言を受け,私たちも国立大学理学部長声明として,基礎科学への投資を訴えました。これは,ノーベル賞のお裾分けといったところでしょうか。そうそう,本当にお裾分けで,ノーベル賞ゴールドメダルチョコレートをもらいました。

理学系研究科は世界に誇る研究の拠点だと思っています。私はこれで研究科長を退任しますが,一教員として,これからも若い優れた研究者を育てながら誰も考えないような研究を続けていきたいと思っています。

 

 

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