理学部紹介冊子
近藤豊教授が日本学士院賞を受賞
小池 真(地球惑星科学専攻 准教授)

近藤 豊教授
注:近藤教授は2015年3月に本学を定年退職され,現職は情報・システム研究機構 国立極地研究所 特任教授です。
地球惑星科学専攻の近藤豊教授注が,地球大気環境科学の研究業績により日本学士院賞を受賞されることが決まりました。
近藤教授は永年にわたって,先端的な測定手法の開発にもとづいた地球大気環境科学研究・教育の推進に努めてこられました。これらの研究では,教授は一貫して高精度測定の追及という観測の原点に足場を置き,各種の測定器の開発にもとづいて気球,航空機,地上観測を世界各地で実施するとともに,国内外の研究プロジェクトを推進されてこられました。そして成層圏オゾンの破壊メカニズム,対流圏大気の酸化力・大気質の変動要因,気候変動に関わるエアロゾル(微粒子)の動態など,大気環境科学の重要課題の解明に傑出した業績をあげられてきました。成層圏オゾン 研究では,成層圏全高度での各種の窒素酸化物の直接測定を世界で初めて成功させ,北半球中緯度や北極でのオゾン破壊メカニズムの解明に重要な貢献をされました。また地球温暖化効果をもつエアロゾルであるブラックカーボンの測定手法の確立に尽力され,アジアや北極圏で航空機観測を行い,ブラックカーボンの質量濃度や被覆状態の空間分布を明らかにしました。この知見に基づき気候変動予測に用いられる数値モデルの精度が評価され改良が進むなど,近藤教授の先駆的かつ独創的な研究の成果が高く評価され,今回の受賞となりました。
近藤教授の今後の益々のご活躍を祈念いたします。