「第二の地球を探せ!」 - 「太陽系外惑星天文学」入門 -

田村 元秀(天文学専攻 教授)


田村元秀 著
「第二の地球を探せ!-太陽系外惑星天文学入門-」
光文社新書
(2014 年10 月出版)
ISBN 978-4-334-03824-3

太陽以外の恒星のまわりにある惑星(系外惑星)の発見からわずか20年で,系外惑星の数は有力な候補も入れると既に数千個を超えた。単なる発見数の増大だけでなく,灼熱の木星や著しい楕円軌道を持つ惑星など,太陽系内の惑星と似ても似つかない多様な惑星の姿も明らかになった。いわば,「我々の世界」とは異なる『新世界』が宇宙に開拓されつつある。系外惑星の観測方法も多様化し,当初は惑星そのものからの光を見るのではない間接的方法だけが成功していたが,すばる望遠鏡などの巨大望遠鏡と光学技術を駆使することによって,系外惑星を画像に捉える直接観測も可能になった。また,地球型惑星や,それらより少しだけ重いスーパーアースと呼ばれる惑星の間接観測にも関心が高まっている。なかでも,惑星表面上で水が液体で存在しうる「ハビタブル惑星」は,宇宙における生命を議論する上で最も興味深い対象である。

本書は,現代天文学で最もホットなトピックのひとつである系外惑星の観測を紹介したものである。観測的天文学は大型望遠鏡や2次元素子などにより過去30年で長足の進歩を遂げた。その中で,筆者の大学院・海外研究員時代の背景と系外惑星研究との関連も描かれているので,これから天文学を目指そう,専門分野に進みたいという学生にもぜひお勧めしたい。また,理学系研究科では,学部生・院生向けの系外惑星の講義を天文・物理・地球惑星科学専攻の枠を超えて行っているので,興味のある方は聴講されたい。

 

 

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