青い空,白い雲,碧い海,黄色い実験室

野沢 泰佑(化学専攻 博士課程1年生)

青い空,白い雲,碧い海,そんな誰もが羨むカリフォルニアのビーチを横目に,私は紫外線カット処理が施された黄色い実験室で作業をしていた。

私は現在,理学系研究科博士課程において,マイクロ流体工学と呼ばれる分野の研究を行っている。これは数十マイクロメートルスケールの微小な流路内に液体や細胞を流すことで,それらの微細な動きを操作する技術であり,私はその中でも細胞分取装置と呼ばれる装置の開発を行っている。マイクロ流体デバイスの作製では非常に微細な加工が必要となるため,大気中の微細なチリやホコリが除去されたクリーンルームと呼ばれる空間で作業が行われる。また製造過程で用いる試薬の中に紫外線に反応するものがあるため,紫外線がカットされているイエロールームという黄色に彩られた実験室で大半の作業を行っているのである。

小旅行で訪れたカリフォルニア大学バークレー校にて。筆者(右)と友人(左)

そもそもなぜカリフォルニアに行くことになったかについても説明する必要があるかもしれない。今でこそ化学とかけ離れた研究をしている私であるが,学部時代は有機合成化学の研究を行っていた。しかしながら修士課程進学のタイミングで現在所属している研究室が新設されたため,研究室の立ち上げに関わりたいという思いから移籍を決意し,それに伴って研究分野も移り変わったのである。当研究室は光を用いた新規測定技術の開発を中心に研究を行っており,当時はマイクロ流体工学に関する知見は一切なかった。そこで私はカリフォルニア大学ロサンゼルス校にいる共同研究者の元でのマイクロ流体工学の技術習得を使命とし, 2ヶ月間の短期留学で派遣されたのである。

イエロールームの外観

 

ロサンゼルスでの生活は良くも悪くも日本でのそれとはかけ離れていた。ロサンゼルスの人々は非常に陽気で,初めてのアメリカ滞在で右も左も分からなかった私に非常に親切にしてくれた。また日差しは強いがカラッとした気候のため真夏でも非常に過ごしやすかったのも良い点であった。一方で車社会の弊害ではあるが公共交通機関が発達していなかったのは,短期間しか滞在しない私にとっては非常に重要な問題として降りかかった。また治安面においても,大学の周辺は安全であったが,小旅行に出た際に何度か命の危険を感じたこともあった。これについては今となっては良い思い出ではあるが。

そんなこんなで短くも密度の濃い私の留学生活はあっという間に終わりを迎えた。紙面の都合でここではすべてをご紹介できないのが悔やまれるが,それについては皆さん自身で体験してみていただきたい。

 
2013年 東京大学理学部化学科 卒業
2015年 東京大学大学院理学系研究科化学専攻修士課程 修了
現在 同博士課程在籍
   

 


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