理学部1号館東棟予定地の遺跡調査と見学会

原 祐一(埋蔵文化財調査室 助手)

江戸時代,本郷キャンパスの西側には加賀藩邸,東側には富山藩邸・大聖寺藩邸が,浅野・弥生両キャンパスと隣接する住宅地には水戸藩邸が配置されていた。「加賀藩本郷邸図」(1840-1845年頃)によれば,育徳園(現,三四郎池)の南側に御殿が,周辺に役所,家臣の住居が配置された。理学部1号館東棟建設予定地は育徳園の北側で,建設に先立ち,埋蔵文化財調査室が2015年8月から12月まで遺跡調査を行った。建設予定地と理学部7号館(1985年調査)周辺は「武州本郷第図」(1688年)によれば下級武士の住んだ「御歩(おかち)町」と,上級武士の住んだ「八筋(やすじ)長屋」で,ほぼ同じ配置で幕末に至る。旧1号館跡地の北側で「御歩町」の長屋を取り囲んだと考えられる柵を検出し,南側では「八筋長屋」の区画を示す石垣,道,井戸を検出し陶磁器などが出土した。藩邸全体では2,000~3,000人の家臣が居住したとされる。今後,家臣の生活,土地利用の変遷の解明が期待される。


遺跡見学会の様子

理学部1号館東棟予定地の遺跡見学会を2015年10月23,24日に開催した。2日間で600名が参加した。遺跡調査の様子を見学者に間近で見ていただき,出土した遺物,遺構,これまでの成果について,調査室員と遺跡調査会社で解説を行った。当地点との比較資料として,加賀藩の御殿で大奥の一角を調査した際に薬学系総合研究棟の地点から出土した,陶磁器や化粧道具を展示した。このほか,浅野キャンパスの調査から水戸藩と弥生時代の研究成果,育徳園の池の調査結果を展示した。今後は,報告書や展示などによる成果の公開を計画している。



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