佐佐木行美先生を悼ぶ

西原 寛(化学専攻 教授)

本学名誉教授,佐佐木行美先生(化学科)が2016年6月25日にご逝去されました。享年87歳,直前まで電子メールで励まされていた門下生達には,衝撃的な訃報でした。

先生は1928年(昭和3年)6月26日東京府のお生まれで, 1952年東京大学理学部化学科を卒業して大学院に進学され, 1955年東京大学理学部助手に任ぜられました。1956年からスウェーデン王立工科大学に長らく留学され,研究助手を務められました。1961年に帰国して東京大学助手に再任官され,その後,東京理科大学理学部講師,助教授を経て, 1963年には東京大学理学部助教授に任ぜられ, 1967年教授に昇任, 1989年に停年によりご退官されるまで無機合成化学講座を担当されました。


故・佐佐木 行美 先生

先生は戦後の復興期から40年間もの長きにわたって,溶液化学,固体化学,合成化学にわたる無機化学の諸分野で常に先導的研究を展開されました。特にスウェーデン留学時からの代表的な研究対象であるポリ酸(主に前周期遷移金属で構成され複雑な構造を持つ多核縮合酸素酸)について,新物質の合成と結晶構造,溶液化学の基礎研究で国際標準となる豊富な業績を挙げられ,配位多面体立体化学の領域を開拓されました。

佐佐木先生は広い見識と高邁なご人格で学生および後進を魅了し,独創性を育成する研究室運営で,国内外の最前線で活躍する多くの研究者を育てられました。ご停年後も本郷キャンパス近くのご自宅で佐佐木先生を囲み,科学から文学,芸術に至るまで先生の軽妙でウィットに富む素敵なお話を伺ったのが走馬灯のように思い出されます。心よりご冥福をお祈りいたします。


 

 

 

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