「数学の現在i」「数学の現在π」「数学の現在e

河東 泰之(数理科学研究科 教授)

斎藤 毅 , 河東 泰之 , 小林 俊行 編
「数学の現在」シリーズ全 3 巻
「数学の現在 i」「数学の現在π」
「数学の現在 e」
東京大学出版会 (2016 年)
左から ISBN978-4-13-065311-4
ISBN978-4-13-065312-1
ISBN978-4-13-065313-8

東京大学理学部数学科の4年生では,数学講究XB とい
う必修講義がある。これは各教員が自分の研究内容を学
生向けに1時間ずつ紹介するものであり,今年度は36件の講義が行われた。「有限体上の代数解析とp進コホモロジー」といった抽象純粋数学の題名もあれば,「脳内の視覚情報処理の数理モデルと錯視,画像処理,アートへの応用」といった応用数理の題名もある。4年生が専門を決める参考となることも期待しており,20年以上前のカリキュラム改革によって導入された講義である。

この内容は数学のかなり広い範囲をカバーしているので,せっかくの毎年の講義の内容をそのままにしておかず,本として出版してはどうかという企画が東京大学出版会で持ち上がった。これを実現したのがこの3冊である。数学はしばしば,代数,幾何,解析,応用に分類される。この3冊も,内容的にはほぼiが代数系,πが幾何系,eが解析・応用系に対応しているのだが,このような分類は人工的なもので,分野横断的なテーマも少なくないこと,そのようなテーマこそ面白いともいえることから,あまり「代数の巻...」といった題名にはしたくなかった。また1巻,2巻...といった番号付けもつまらないことから,各巻には,虚数単位i,円周率π,自然対数の底e を名前として付けることになった。表紙デザインともども,きれいな本になってよかったと思う。
 

 

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