シュトゥットガルト滞在記&脱出記

山田 昌彦(物理学専攻 修士課程2年生)

飛行機でドイツ・シュトゥットガルトに到着したのが夕方であったために,電車とバスを乗り継いでマックスプランク固体物理学研究所(Max-Planck-Institut für Festkörperforschung)に到着した時には真っ暗になっていた。とくに,珍しく研究所に雪が積もっていたため,足元もふらつき重たい荷物がより重たく感じられたが,なんとか守衛さんと話すことができた。初日はゲストハウスの鍵を受け取り部屋に入るだけなのだが,守衛さんは英語が話せないようでジェスチャーでコミュニケーションをとるのに苦労した。

マックスプランク固体物理学研究所の前でジョージとの写真。
ジョージ曰く
「There is a Berry phase around the institute.Even if you go right, right and right around the Institute, you cannot get back to the same place.」
左:筆者,右:ジョージ・ジャッケリ博士

 どうしてはるばるドイツまで来ることになったかというと,理学系研究科物理学専攻の高木英典研究室(現高木・北川研究室)の特別実験の一環として,2015年の春休みにドイツの側の高木研究室で海外インターンシップに参加したからである。マックスプランクの高木研に滞在し,同研究所のジョージ・ジャッケリ(George Jackeli)博士とともに一ヶ月半研究することになっていた。

翌日には,ジョージとショッピングモールに買い出しに行ったが,すでにどんな研究をするかという話まで踏み込むことができた。スーパーでは果物の安さと加工食品(ソーセージとチーズがおいしい!)の充実度に驚いたが,ジョージは砂糖を指して「Powder or crystal? Not a single crystal, but poly」とジョークばかり言うので,人生で一番楽しい買い物となった。

シュトゥットガルトのオペラ座。シュトゥットガルトのオペラは世界的にも有名

研究はダブルペロブスカイト化合物におけるスピン軌道相互作用の効果の理論的研究というマニアックな内容であった。おおよそ午前8時に起きて,研究所で朝食をとり,その後は居室で研究し,午後5 時頃にはゲストハウスに帰るという毎日である。特に,高木研には午前10時と午後3 時ごろコーヒータイムがあるので,その時他のメンバーとも交流することができた。
研究の流れはおおよそ,ジョージが模型を作ってくれて,その模型を自分が解析・計算するというものであり,あくまで自分は彼の計算を手伝ったという要素が強い。しかし,ここでの経験が,のちに自分が量子スピン液体の実現アイディアを思いつくのに役立ち,今の自分の骨の部分となっていることを感じている。また,シュトゥットガルトは治安が良く,博物館もたくさんあり,オペラが見られるので,夕食後や土日の観光も非常に楽しむことができた。

帰国の前日,航空会社(KLMオランダ航空)から飛行機欠航の知らせがあり,ルフトハンザの便に振り替えられた。しかし,その便も当日に欠航。中央駅から特急に乗ったらそれもマンハイムで運転を止めてしまい,反対側のホームの特急に乗り込んだ。フランクフルトまで陸路で行っても間に合わず,翌日の便でなんとか帰国した。飛行機運がないのでいつも帰国時は苦労してしまう。

最後に,ドイツでの短期海外インターンシップという貴重な機会を提供してくださった物理学専攻の高木先生に感謝します。また,帰国を手伝ってくださった礒部正彦研究員にもこの場を借りてお礼を申し上げます。

 
2015年 東京大学理学部物理学科 卒業
同年3月 理学部学修奨励賞受賞
2015年 東京大学大学院理学系研究科
物理学専攻 入学

 


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