ウィーン工科大における先端レーザー開発研究

石田 角太(化学専攻博士課程 3年生)

私は,本学理学系研究科化学専攻の量子化学研究室に所属し,山内薫教授の指導の下,強い光の場における原子や分子のふるまいについて研究を行っている。このような強光子場科学の研究を行う中で私は,オーストリア・ウィーン工科大学のアンドリウス・バルツスカ(Andrius Baltuška) 教授とマーカス・キツラー(Markus Kitzler) 博士のグループが,波長(λ) がλ= 6μmの中赤外域高強度レーザーを開発していることを知った。バルツスカ教授らが開発しているレーザーを用いて高次高調波を発生させると,λ= 3Å 程度のX線も得られる。この中赤外域の光源の開発に携わりたく思い,2015年度,博士課程2年生だった私は,キツラー博士や博士研究員の方々にお世話になりながら,ウィーンにて共同研究を推進した。

 美術史美術館を訪れた筆者


2016年1月11日から3月11日までの二か月間,ウィーンに滞在した。バルツスカ研究室には,リトアニア出身の方が多く,他には,チェコ共和国,ロシア,インド,中国,日本など様々な国の方々が集まっていた。研究室のメンバーは,皆,真摯に研究に取り組んでいて,ミーティング時などには活発に議論を行っていた。研究室の皆様は,たびたび食事に誘ってくださったり,ウィーンでの生活に私が慣れることができるようアドバイスをくださったりするなど,研究以外のことでも親切にしてくださった。

ウィーンでは,電車の乗り方やスーパーでの買い物の仕方などで日本とは異なる習慣があり,苦労した。しかし,どこに行っても英語で会話することができ,また,街の人も皆親切だったので,わからないことはその場で聞いて解決することができた。ウィーン西駅近くの寮から大学へ向かう際に通るマリアヒルファー通りには,歴史を感じさせながらも,現代の風景に溶け込んだ美しい建築群が立ち並んでおり,歩いているだけで楽しかった。マリアヒルファー通りに沿ってリンクと呼ばれる環状道路の辺りに出ると,ホーフブルク王宮や国会議事堂などの壮大な建築物に魅了される。中でもとくに,シュテファン大聖堂は圧倒的な存在感で,昼でも夜でも,何度見ても引き付けられるような魅力があった。また,私はアルベルティーナ美術館や美術史美術館で絵画を鑑賞したり,国立歌劇場でオペラを鑑賞したりした。滞在中は,研究だけでなく,芸術に囲まれた中で生活をすることができ,とても幸せだった。ある週末には,研究室の方に勧めていただいたレオポルツベルクを訪れた。その山からは,ドナウ川とその一帯の静かで広大な美しい景色が眺められた。

Baltuška 研究室のメンバーと筆者(右から二人目)

 
今回の滞在で私は,十分にコミュニケーションを取りながら最先端の研究プロジェクトに参加することができた。普段から英語を使っていることが大変役に立った。このような研究環境を提供してくださったバルツスカ教授,キツラー博士をはじめとするバルツスカ研究室の皆様に,また,このような貴重な機会を与えてくださったフォトンサイエンス・リーディング大学院 (ALPS:Advanced Leading Graduate Course forPhoton Science )関係者の皆様と山内教授に感謝している。

 
2012年 東京大学理学部化学科 卒業
2014年 東京大学大学院理学系研究科 化学専攻修士課程 修了
現在 同博士課程在籍

 


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