つい誰かに教えたくなる人類学63の大疑問

石田 貴文(生物科学専攻 教授)

日本人類学会教育普及委員会 監修
中山一大・市石博編
「つい誰かに教えたくなる人類学63の大疑問」講談社 (2015年出版)
ISBN 978-4-06-153451-3

日本の初等中等教育の場から「生き物としての人類・ヒト」の話題が減少していることを憂い,日本人類学会では様々な活動をしてきた。高校の生物の先生が授業の合間に,面白ネタで生徒の関心を引くような本を作り,将来の人類学を担う次世代を育てるきっかけにと本書は企画された。執筆が現役の高校の生物教師,相談相手が人類学研究者という陣容である。それでは読者層がちがうのでは?という本書を理学部ニュースで取り上げて戴くのには理由がある。出来上がって見ると,内容が高度だったのである。正直言って,学部~大学院修士レベルの本になってしまっているのだ。研究者側は「正確に,緻密に」と譲れないところが多く,だんだん研究論文のように・・・それを上手く収めたのが編者の一人,生物科学専攻出身の中山一大博士であった。

最古の人類・古代DNA・ネアンデルタール人との混血,等々,耳目を賑わす話題が6つのジャンルで分かりやすく解説されている。生物学科開講の「人類学演習」は,人類学最新のトピックスを紹介する授業だが,本書で取り上げられている多くの話題は過去にこの演習で扱われたものである。 現在,版を重ね,さらに電子版の配信も始まっている。

最後に,どうして63という数なのか?当初は70だったはずが,いくつかの話題は担当者間で話が纏まらなかったとのことである。消えた7つの疑問にも興味は尽きない。
 

 

理学の本棚>

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加