先人の言葉

安東 正樹(物理学専攻 准教授)

例年,「理学部ニュース」の3月号では,「定年退職の方々を送る」という特集が組まれている。定年退職される方に執筆頂いた記事と,ゆかりのある方からの送る言葉が掲載されている。まことに個人的な話ではあるが,最近ふと思い立って,それらの記事を過去にさかのぼって目を通してみた。というのは,今年 (2016年) の2月に米国の重力波望遠鏡LIGO が,重力波信号の初観測に成功したと発表したことがきっかけである。私の恩師である坪野公夫先生は,研究者人生のほぼ全てを重力波研究に捧げ,その初観測という夢が叶わぬまま, 2013年に定年退職された。その際に,何を書かれていたのか気になったのである。そこには,「私の経験と勘が正しければ,10年以内には確実に重力波は受かっているであろう。そのときには,これまで誰も見たことの無かった中性子星やブラックホールがその姿を現わすはずである。」(2013年3月号) と記されており,まさにその通りになったのだと感慨を覚えた。他の先生方の記事でも,経験に基づく知恵や将来への見識,そして研究への情熱や感謝,新たな人生への決意といったお人柄が凝縮されていることを感じた。それらはまさに「温故知新」の宝庫だと感じた次第である。

1969年「理学部弘報」1巻5 号の目次。当時は編集委員会がお話を伺ってまとめる,という形式で記事にされていたようである。

 

 

温故知新>

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