Central Scienceとしての化学を学び発展させる

山内 薫(化学専攻 教授)

図1

化学科での学生生活

図2

化学科カリキュラム

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図3

化学東館(上),西館(下)

化学科とは

地球上や宇宙に存在する広大な物質群,および,それらが織り成す壮大な物質世界や生命世界を,原子・分子レベル,分子集合体レベルで探索・理解する科学,それが化学である。化学という学問領域は,物理化学,無機化学,有機化学,生物化学などに大別されるが,いずれの分野も量子力学,熱・統計力学などの基礎に立ち,化学自体で精密科学としての体系をもちながら,物理学,生命科学,地球・環境科学などの境界領域に研究分野を広げている。最近のバイオテクノロジー,エレクトロニクス,新素材開発などの分野の目覚ましい発展も,物質を分子や分子集合体レベルで解明する化学の研究成果に基づくものである。本化学科は,学術の最先端領域で活躍する教員を擁し,「化学」の基礎から応用までを学ぶことができる教育カリキュラムを用意している。また, 2010年3月に講義室,実験室を改装し,新しい学生を受け入れる環境も整っている。

なお,化学科の歴史は,徳川幕府が創設した蕃書調所の精煉方(1861年)までさかのぼる。東京大学創立の年(1877年)に早くも卒業生3名を出した唯一の学科でもあった。それ以来,本化学科はわが国の化学発祥の地,および先導役として学界,産業界,教育界に多くの人材を輩出してきた。

進学振り分け

化学科は上限定数45名で学生を募集する。定員の内訳は,第一段階:理科I類18名,理科II類10名,全科類6名,第二段階:理科全類11名である。

化学科のカリキュラム

現代の化学の研究は,宇宙の果てに存在する分子を電波望遠鏡で観測する宇宙化学から,最新のレーザー光計測により生きた細胞を調べる生命化学まで,実に幅の広い分野にわたっている。化学科では,その中でも,化学の基礎となる分野,すなわち,分子の構造や反応,そして,光と分子の相互作用に関する基本的な研究を行う物理化学や,さまざまな物質の分析方法を開拓する分析化学,有用な物質の創成を目指す有機合成化学について,深く,そして広く学べるように,学部学生のためのカリキュラムを用意している。(表)

2年生4学期
進学内定後の4学期には,量子化学Ⅰ,化学熱力学Ⅰ,無機化学Ⅰ,分析化学Ⅰ,有機化学Ⅰなど,化学の基礎を固める講義が開講される。
3年生(第5および第6学期)
3年生になると,午前講義,午後実験,という充実した毎日が本郷キャンパスにて始まる。化学の専門知識を深く広く学べるように,選択科目として16講義が開講される。
また,第5学期には,化学教室内の親睦を深める目的で,研究室対抗ソフトボール大会が開催される。3年生も,“チーム3年生”として,例年トーナメントに出場している。
4年生(第7および第8学期)
4年生になると化学特別実験のみが必修科目となる。化学特別実験は卒業研究として1年間行われるもので,学生は化学教室のいずれかの研究室に各自の希望により配属され,化学の最先端の独創性を目指した研究を行うことになる。研究者としてのスタートが4年生から始まることになる。

カリキュラムの特徴

カリキュラムの特徴のひとつは,実験を第一に重視するという点にある。実際,3年(第5および第6学期)の一週間を通して3限と4限は学生実験に充てられており,無機および分析化学,有機化学,物理化学の各分野での実験を必修科目として行っている。また,これらの3実験科目と4年での化学特別実験(第7および第8学期)以外の科目については,十分に選択の自由が確保されている。

進路

化学科学部卒業生は,例年大部分が本学の大学院修士課程に進学する。大学院理学系研究科化学専攻の修士課程の定員63名が,化学科定員45名よりも多いことからもわかるように,化学専攻全国の大学から化学系学部出身者が集まっている。また,大学院の修士課程の修了者の半数が博士課程に進学し,残りの半数が,民間企業,国公立研究・教育機関に就職している。また,博士課程修了者は理学博士の学位を取得し,第一線の研究者として大学や研究所などの研究・教育機関,民間企業の研究職に就職している。