「コンピューティング-原理とその展開-」

「コンピューティング-原理とその展開-」

荻谷 昌己(情報理工学系研究科コンピューター科学専攻 教授・情報学科兼担),川合 慧(放送大学 教授)

図1

川合慧・萩谷昌己「コンピューティング-原理とその展開-」(放送大学大学院教材)NHK出版(2015年3月発行予定)
ISBN978-4-595-14056-3 C1355

本書は,放送大学の同名の大学院科目のための教材として作成された。当然ながら,コンピューティング(計算)は,計算機科学や情報科学の基礎であるとともに目的でもある。本書は,大学院科目であるがゆえに,計算機科学や情報科学の最先端の研究動向に触れつつも,放送大学であるがゆえに,必要に応じてコンピューティングの基礎概念に関して解説している。全15章の各章において,各分野の最先端を走る研究者を著者の川合と萩谷が訪れインタビューを行い,ご自身の研究も含めて,各分野の研究動向やその目指すところを,できるだけ平易に解説していただいた。各章ごとに,インタビューの内容をもとにして,解説の文書を作成し,さらに,川合と萩谷が,インタビューの内容を理解するために必要となる基礎概念の解説を追加した。結果として,計算機科学や情報科学の全分野を網羅しているわけではないが,相当に多くの分野の解説を一冊に押し込めることができた。たとえば,第4章では,京都大学数理解析研究所の照井一成准教授に,計算と論理の関係を非常にわかりやすく解説していただいている。ゲーデルの不完全性定理の限界をある意味で超えたゲンツェンの無矛盾証明についてのくだりは,あたかも,その時代のゲンツェンの奮闘を目の前で見ているような錯覚さえ感じる物語となっている。また,最終章では,慶応大学環境情報学部の徳田英幸教授が,ユビキタスコンピューティングに始まり,シンギュラリティも含めて,コンピューティングの未来を語っていただいている。たとえば「あなたは being naturalですか?あなたはenhancedですか」という下りがあるが,その意味は読んでからのお楽しみである。計算機科学や情報科学を目指す方も,そうでない方も,目を通していただきたい。ついでに, 2015年度から始まる放送も聞いていただければ幸いである。