銀河進化の謎 宇宙の果てに何をみるか

銀河進化の謎 宇宙の果てに何をみるか

嶋作 一大(天文学専攻 准教授)

図1

嶋作一大著「銀河進化の謎」東京大学出版会 (2008年) ISBN978-4-13-064103-6

夜に満天の星を楽しむにはいくつかの条件がいる。晴れていること,大都市から遠いこと…。第一に挙げるべきは,銀河の住人であることかもしれない。満天の星はすべて,われわれの住む銀河 -銀河系- の星だからである。宇宙にはたくさんの,そして多彩な銀河が存在する。宇宙のどこにいても「満天の銀河」は楽しめるのである-望遠鏡さえあれば。本書は,銀河という天体について一般向けにやさしく解説したものである。

多くの銀河は長い歴史をもつらしい。観測が届いているもっとも過去,10億歳足らずの宇宙にも,たくさんの銀河が見つかっているからである。では,それらの銀河はいつ宇宙に現れたのか?どう進化して現在見られるような立派な姿になったのか?銀河進化は天文学の大きな謎である。

銀河は宇宙生物学にもつながりがある。生命は惑星で生まれ,惑星は星とともに生まれ, 星は銀河で生まれるからである。われわれはなぜ今ここにいるのか?それに答えるには銀河を知らねばならない。

銀河は宇宙論にも欠かせない。宇宙が膨張しているという驚くべき事実は,銀河の観測からわかった。暗黒物質や暗黒エネルギーも銀河を用いて探ることができる。

ということで,Astronomy(天文学),Biology(生物学),Cosmology(宇宙論)は銀河のABCといえそうである。

本書と同じUT Physicsシリーズの「ものの大きさ」(須藤靖著)と「宇宙137億年解読」(吉田直紀著)も銀河を扱っており,お奨めする。もちろん私の本棚にも(いただきものが)ある。