軟X線レーザーナノ集光システムを開発
-2種類の集光ミラーを組み合わせたハイブリッド型-
理化学研究所
東京大学大学院理学系研究科
東京大学大学院工学系研究科
高輝度光科学研究センター
概要
理化学研究所(理研)放射光科学研究センタービームライン開発チームの本山央人客員研究員(東京大学大学院理学系研究科 特任助教)、ビームライン研究開発グループの矢橋牧名グループディレクター、東京大学大学院工学系研究科の三村秀和准教授、高輝度光科学研究センターの大和田成起研究員、大橋治彦主席研究員らの共同研究グループは、軟X線自由電子レーザー(軟X線FEL)を高効率でナノ領域に集光可能なシステムを新たに開発しました。
本研究成果は、軟X線非線形光学や磁性材料の研究をはじめとした軟X線FELを使用するさまざまな研究分野の発展に貢献すると期待できます。
今回、共同研究グループは、X線自由電子レーザー施設「SACLA」の軟X線ビームライン(BL1)において、KBミラーと回転楕円ミラーの二つの集光ミラーを組み合わせた「ハイブリッド型集光システム」を開発しました。集光実験により、従来の集光ミラーでは困難であった軟X線FELのナノ集光(500×550 ナノメートル(nm、1nmは10億分の1メートル))に成功しました。また、固体試料に集光ビームを照射したところ、高強度電場中でしか起こらない非線形現象が計測され、1016 W/cm2を超える高強度軟X線電場の形成が可能なことを示しました。開発した集光システムは、SACLA BL1で発振可能な全ての波長帯域(8~30 nm)で使用することが可能です。
本研究は、英国の科学雑誌『Journal of Synchrotron Radiation』の掲載に先立ち、オンライン版(8月5日付け)に掲載されました。
図:軟X線自由電子レーザー集光の模式図と集光点における強度プロファイル計測結果
詳細については、 理化学研究所 のホームページをご覧ください。
―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―