2018/06/08

ランタン酸化物の超伝導体化に成功

 高温超伝導体の絶縁ナノブロック層が超伝導を発現

 

東北大学材料科学高等研究所(AIMR)

東北大学大学院理学研究科

東京大学大学院理学系研究科

 

概要

東北大学材料科学高等研究所の福村知昭教授らは東京大学大学院理学系研究科化学専攻の長谷川哲也教授と共同で、高温超伝導体結晶中の部分構造で絶縁体として知られるランタン酸化物が超伝導体となることを発見しました。

銅酸化物や鉄系化合物に見られる高温超伝導体は、いずれも電気を流さない絶縁ブロック層と超伝導を発現する電気伝導層が積み重なった層状構造を持ちます。この高温超伝導の発現メカニズムは、30年以上も未解明のままです。

研究グループは、パルスレーザー堆積法と呼ばれる強力レーザーを用いる薄膜作製法で、超高真空中でランタン酸化物を合成しました。得られた化合物は、よく知られた絶縁体のランタン二三酸化物La2O3ではなく、銅酸化物高温超伝導体の結晶に含まれる絶縁ブロック層と同じ岩塩構造をもつランタン単酸化物(LaO)であることが分かりました。La2O3は絶縁体ですが、その組成から酸素原子を一つ減らしたLaOは良好な電気伝導性を示し、約5 K以下でゼロ抵抗となる超伝導体になります。

今回の成果は、銅酸化物高温超伝導体中で絶縁ブロック層であったLaO層の役割について再考を迫るものです。また、超伝導体のLaOと他の機能性酸化物をレゴブロックのように重ね合わせることで、新たな現象や別の新超伝導体の発見につながる可能性があります。

本研究成果は、2018 年 5 月 21 日付けで米国化学会誌 Journal of the American Chemical Society にオンライン掲載されました。

 

図:YAlO3(110)基板上のLaO薄膜の合成条件
ピンクで示した基板温度領域と酸素分圧領域でLaOエピタキシャル薄膜が得られます。

 

 

詳細については、東北大学材料科学高等研究所のホームページをご覧ください。
 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―