2017/02/09

世界初! アルマ望遠鏡で暗黒矮小銀河の光をとらえる―謎に包まれた暗黒矮小銀河の正体解明への第一歩―

 

近畿大学

東京大学大学院理学系研究科

 

概要

近畿大学理工学部(大阪府東大阪市)理学科准教授の井上開輝、東京大学大学院理学系研究科(東京都文京区)助教の峰崎岳夫らの研究グループは、チリ共和国に設置された世界最高の性能を誇る巨大電波干渉計「アルマ望遠鏡」による観測で、暗黒矮小銀河(大変小さく暗い銀河)の冷たい塵が放つ微弱な光と考えられるシグナルを世界で初めて検出しました。この発見は、謎に包まれた暗黒矮小銀河の正体を解明する手がかりになると期待されています。

宇宙は未だに謎に満ちていますが、研究が進むなかで理論と観測が合わない問題がいくつか生じています。その一つが「行方不明の矮小銀河問題」です。矮小銀河とは、私たちの住む天の川銀河の約1000分の1以下の質量しかない小さな銀河のことですが、観測されている矮小銀河の数が理論予測より著しく少ないのです。その理由として推測されるのは、宇宙にはほとんど光って見えない暗黒矮小銀河がたくさん潜んでいるのではないかということです。暗黒矮小銀河とは、名前の通り大変暗い天体でその正体は謎に包まれています。その謎を解明するには、暗黒矮小銀河の放つ微弱な光を直接とらえるか、重力により近くを通る光の経路を曲げる「重力レンズ効果」を使って質量を測定するか、どちらかしかありません。

近畿大学の井上と東京大学大学院の峰崎らの研究グループは、地球から114億光年離れた天体をアルマ望遠鏡で観測しました。その結果、観測対象の天体のすぐそばに、冷たい塵(小さな岩や氷の粒)によるものと考えられる微弱な電波を検出しました。その場所に暗黒矮小銀河があると仮定すると、天体の観測結果に現れたいくつかの現象が説明できることが分かりました。

今後追観測を行うことで、暗黒矮小銀河の大きさや距離などを精密に測定し、その正体に迫りたいと考えています。

図:重力レンズ効果による光路の曲がり。単一の光源が手前の銀河により4つのレンズ像A1,A2,B,Cに分裂してみえる。

 

本件に関する論文が、平成29年(2017年)1月30日に米国の学術雑誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されました。

詳細については、近畿大学のホームページをご覧ください。
 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―