2016/10/12

3次元集積化グラフェントランジスタの動作に成功

 -従来比1000倍、軽量で省電力なデバイスに道-

 

東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)

東北大学 大学院理学研究科

東京大学 大学院理学系研究科

 

概要

東北大学大学院理学研究科・原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)の田邉洋一助教、谷垣勝己教授と陳明偉教授は、高橋隆教授、阿尻雅文教授、伊藤良一准教授、菅原克明助教、北條大介助教、越野幹人准教授、東京大学理学系研究科の青木秀夫教授(研究当時※)らと協力して3次元ナノ多孔質グラフェンを用いたグラフェントランジスタの3次元集積化に成功しました。炭素原子一層からなる2次元シートであるグラフェンは優れたトランジスタ性能を示しますが、実用的な性能を得るには何千枚ものグラフェンを集積化し実用レベルまで性能を向上させる必要がありました。今回開発した厚みがあり多孔質を持つ3次元グラフェンをトランジスタに用いることで、集積してない2次元グラフェントランジスタの最大1000倍の電気容量を達成しました。

近年、携帯情報端末の普及や小型化・高性能化に伴い、省電力で軽量かつ高性能なデバイスの開発が求められています。グラフェンは2次元のシート材料であり、安価で軽量かつその優れた電気特性から、トランジスタなどの半導体集積回路に必要不可欠なシリコンの代替材料として有力視されています。しかし、応用研究や商品化では、必ずしも2次元シート状であることが最適ではないことが近年分かってきました。

今回本研究グループは、以前より研究を進めてきた3次元ナノ多孔質グラフェンを用いて電気2重層トランジスタ(*2)を作製しました。そしてこのトランジスタが従来の平面構造のグラフェントランジスタと比較して100倍高い伝導度の応答と1000倍高い電気容量を示すことが分かりました(図)。3次元ナノ多孔質グラフェンはシリコン基板に比べて表面積あたりの重さが1万倍程度軽く、高い易動度から消費電力の低減が見込まれていることから、省電力かつ軽量・高性能なデバイス開発に寄与することが期待されます。

本研究は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業 CREST「エネルギー高効率利用のための相界面科学」研究領域(研究総括:花村克悟)、文部科学省の新学術領域研究「原子層科学」、および世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の支援を受けて行われたもので、ドイツの科学雑誌「Advanced Materials」に2016年10月11日(ドイツ時間)オンライン掲載されました。
※現・東京大学名誉教授

 

図:3次元ナノ多孔質グラフェントランジスタの模型図

 

詳細については、東北大学 原子分子材料科学高等研究機構のホームページをご覧ください。
 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―