大学院の教育目的・目標

大学院の教育目的・目標

東京大学大学院理学系研究科では,以下の人材を育成する教育を行っている。

  • (a) 自然科学を中心とする諸分野の研究の第一線で開拓的な研究を行う研究・教育者
  • (b) 国際的、学際的な研究プロジェクト等の中核となる研究者
  • (c) 産業界の要請及び諸研究・現業機関等からの需要に応じた創意ある研究開発者、の養成

専攻の固有の目標

物理学専攻

物理学の研究分野は、素粒子・高エネルギー物理、原子核物理、宇宙物理、流体・プラズマ物理、 物性物理、量子エレクトロニクス、生物物理などの広い領域に渉って展開されている。 本物理学専攻では、理学系研究科の教員に加えて、 学内外の諸機関所属を含む総計130名程の教員から構成されている。 物理学専攻の学生はこのような物理学の広い領域の研究室に配属し、第1線の優れた研究に主体的に参加する。 本専攻では、革新的、創造的であることが絶えず要求される物理学の先端研究を、 学生に実践的に体得・参加させその経験を通して、 一人立ちできる研究者技術者としての力量を涵養させることを目標とする。 断片的な知識を得ることでは無く、物理学を特徴づける考え方、未知の現象に迫る方法論、 論理的で明晰な分析力などを体験によって身につけさせることを目指す。

修士課程の初期には講議などの一般的教育も行われるが、 修士・博士課程を通じて研究室における特別実験または特別演習による独自の研究が重視される。 それらにより、特定のテーマについての研究を学位論文にまとめさせ、 自らの力で学術的な新知見を得たという達成感とそのプロセスを経験させる。 物理学の一つの専門分野を深く研鑽することにより修得した、 物理学的思考とその精神を生かせる人材を養成することを教育の目標とする。 課程修了後の進路として物理学研究を専門とする職種に就く場合でも、そうでない場合でも、 どのような状況においても指導的・創造的な役割を担える人材を育成することを目標とする。

天文学専攻

天文学の発展ぶりは、近年著しく目覚しい。 地上及びスペースからの、新技術を駆使した、あらゆる波長の電磁波観測、 更に宇宙線、ニュートリノ、重力波等の新しい観測手段により、 太陽系から深宇宙までの様々な観測的研究が精力的に行われ、多くの事実が明らかになりつつある。 それと呼応して理論的研究も進展著しく、 また計算機の機能の向上は数値実験を手段とする新たな研究分野を発展させることになった。 天文学専攻においては、 このように日進月歩の天文学研究を自発的に行える次世代の研究者を養成する事を第一の目標としている。 修士課程では、選択した研究分野においてオリジナルな研究論文を書くのに必要な知識と研究手法を習得させる。 博士課程では、世界的に通用する研究を自立して行う人材を育成する。

天文学を独立した専攻として設けている大学院は、日本では極めて少数であり、 我が国の天文研究者の養成に重い責任を負っている。 幸いにも、国立天文台と宇宙科学研究所を本務とする兼任教員を加えた本天文学専攻教員の数と そのカバーする研究分野の広さは、世界的に見ても特筆に値するものと言え、 その特徴を生かして、幅広く天文学分野を見渡せる学生を育成することを目標としている。 本専攻で天文学を深く研究することによって習得した、理学的思考とその精神を身につけた学生は、 天文学研究職に就くか否かを問わず、広い視野に立てる人材として社会の様々な分野で必要とされ、 且つ活躍出来るものと認識している。

地球惑星科学専攻

地球惑星科学は、地球・惑星とそれを取り巻く流体圏及び惑星間空間の現在の姿と変動の理解、太陽系の形成から現在に至る地球、惑星、生命の進化・発展の過去の歴史の解明、大規模複雑系としての地球システムの未来の変動予測を目的とする学問分野である。 理学系研究科の基幹講座の教員に加えて地震研究所、大気海洋研究所及び先端科学技術研究センターの協力講座教員及び宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所の連携講座教員で構成される地球惑星科学専攻は、我が国に於けるこの分野の研究・教育の中核拠点として、 応用数理科学、物理学、物質科学及び自然史学を基礎とする地球惑星科学の体系的な教育と個別的研究指導を通じ、 自然現象を総合的に理解し得る能力及びその本質を深く洞察し独創的な研究を展開し得る能力を涵養し、 地球惑星科学に関する広範な知識と高度な専門性を有する人材を養成することを目標とする。 具体的には、月・惑星探査、地球環境変動、海洋底掘削、 固体地球変動などに関連した学際的大規模研究プロジェクトに代表される新しい地球惑星科学の研究を主導する、 広い視野と深い専門的知識を併せ持つ創造性豊かな国際的レベルの研究者の養成、 並びに環境問題や地震・火山・異常気象災害等への直接的・間接的対応に関連して社会的に強く要請される、 高度な専門知識を持つ研究技術者の養成を行う。

化学専攻

基礎科学の主幹を成す「化学」の研究は、物理学、生物学、地学などの他の自然科学や、 環境、エネルギー、生命、材料、情報などに関わる様々な応用科学技術の発展にも極めて重要である。 本化学専攻における教育の目標は、国際的に化学研究の最先端を支え、 リードして行く教育機関、および公共・民間の研究部門における研究者を育成することである。 そのために教育体制として、理学系研究科教員に加えて他研究所、研究科に属する教員も参加し、 物理化学、有機化学、無機化学、分析化学の各分野をバランス良く網羅した豊富な教員陣を擁する。 修士課程における教育プログラムは、 高度な基礎化学知識ならびに最新の化学研究内容を教える講義と所属する研究室における最先端研究の遂行を軸とする。

博士課程においては、上記に加えて各自の研究発想・実行・展開に基づく創造性・独自性の高い化学研究の遂行、 報文、論文、口頭発表による成果報告を軸とする。 また、本専攻が多くの外国人研究者が交流する国際化された組織であるため、 外国人研究者との研究、討論によって、大学院生を国際的視野のもとで教育する。 以上のような体制、プログラムによって、先導的研究と最先端かつ高度な教育を最適な形に融合・協調し、 次世代のフロンティアを担う化学研究者の養成を目指している。

生物化学専攻

理学系研究科生物化学専攻では、 生物化学(生化学、遺伝学、分子生物学、構造生物学など)の分野での研究、教育を行っている。 現在、生物化学専攻の基幹部門(理学系生物化学専攻)の教員を核として、 理学系研究科の物理学専攻(生物物理)、医学系研究科、総合文化研究科、農学生命科学研究科、 医化学研究所、分子細胞生物学研究所、遺伝子実験施設などから、教員が参加し、生命現象の仕組みを理解し、 生命の基本様式を解きほぐしていくために、生物学、化学に限らず、 様々なバックグラウンドをもとに究明しようという体制を整えている。 このような体制を整えることにより、幅広い視点から,生命現象の解明に取り組める研究者の育成を目的としている。 また、この分野の最近の進展は、めざましく、多くの生物で、その遺伝子の一次配列情報が、解明されており、 ポストゲノムに対応できる人材の育成も目標に置いている。

生物科学専攻

地球上には150万種、あるいはこの20倍ともいわれるさまざまな生物が生活している。 生物がどのようにして生まれ、これだけの多様な種をなすようになったかを明らかにする過程で、 生物進化、遺伝子(DNA)、遺伝暗号、蛋白質合成など生物横断的に適用できる普遍的原理がみつけられてきた。 また、人類活動が地球環境に大きな影響を与える時代になり、現在多くの生物種が絶滅の危機に瀕している。 生物が示す普遍的な法則を追求した手で、生物多様性について、 その実態、成立の課程と仕組、ならびに人類にとっての意味を明らかにすることが求められている。 生物の多様性が意味をもつように、学問分野においても多様性が今や重要性をおびてきている。 生物科学専攻は動物科学、植物科学、人類科学、 進化多様性生物学および広域理学の基幹講座の教員とその他学内外からの併任・客員教員とによって組織されている。 この多彩な陣容に基づきこれらの生物学の課題について、 具体的には生理化学、発生学、生理学、内分泌学、生体制御、遺伝学、生態学、集団生物学、生態機構学、 形態学、分子生物学、系統分類学、比較生物学、細胞生物学、生物地理学、宇宙生物学、 生物物理学などの基礎研究を通して、大学院生への教育を行っている。 高度な生物学の専門知識と、未知の生命現象を自ら発見し新たな開拓を行う能力とを持つ人材を育成する。

理学系研究科教育の自己評価

分野別教育評価「理学系」自己評価書(理学部)