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受賞・表彰

DATE2022.04.08 #受賞・表彰

岡西政典氏(現・広島修道大学助教)が令和4年文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞

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岡西政典氏


2022年3月まで附属臨海実験所に特任助教として勤務していた岡西政典氏(現・広島修道大学助教)が、「形態と分子に基づくクモヒトデ綱の系統分類学的研究」により、本年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞されました。地球環境の大部分を占める海洋環境をモニターする指標として、これまではサンゴなどのモニタリングが容易な生物が用いられてきました。棘皮動物(ヒトデ、ウニ、ナマコの仲間)に属するクモヒトデ綱は、現生種、化石種ともに多くの種が知られ、生態も多様、かつ博物館標本からのDNA解析が容易であるため、新たな環境指標生物としてのポテンシャルを持っています。しかし、分類などの基礎研究もあまり進んでいないのが難点でした。岡西氏は、化石の保存状態、先行研究の歴史と質、標本点数について、日本のクモヒトデの研究環境が世界トップレベルであることに着目し、国内の網羅的な標本収集を行い、電子顕微鏡を含む形態観察とDNA配列情報も含めた記載を行うことで、クモヒトデにおける先進的な系統分類学的研究を確立してきました。また、国内では初となる骨片化石の発見を成し遂げ、クモヒトデの環境指標生物化が現実的に成し遂げられる基礎を築きました。本研究成果は、クモヒトデを用いた新たな海洋環境保全を行うために不可欠な知見を提供することが期待されており、今回の受賞に至りました。心よりお祝い申し上げます。

令和4年度文部科学大臣表彰
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00989.html

(文責:生物科学専攻 教授 三浦 徹)