2018/05/24

物理学専攻の櫻井博儀教授と原子核科学研究センターの下浦享教授が、平成30年度全国発明表彰「21世紀発明賞」を受賞

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櫻井博儀教授

下浦享教授


物理学専攻の櫻井博儀教授と原子核科学研究センターの下浦享教授が「放射性廃棄物の処理方法」のコンセプト特許により、公益社団法人発明協会「平成30年度全国発明表彰」の「21世紀発明賞」を受賞します。心よりお祝いを申し上げます。

全国発明表彰は我が国の科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に、大正8年に始まり、独創性に富む優れた発明を完成した方々、発明の実施化及び指導、奨励、育成に貢献した方々に贈られてきました。その中で 21世紀賞は科学技術的に秀でた進歩性を有し、かつ中小・ベンチャー企業、大学等の研究機関に関わる発明等に贈られます。

原子力発電所の運転で生成された放射性核廃棄物の内、10万年以上の寿命を持つ、長寿命核分裂生成物(LLFP)と呼ばれる放射性同位元素は地層処分される予定ですが、国内での処分場は決定されていない状況です。受賞対象のコンセプト特許は、これらの原子核を加速器を用いて生成した中性子で、原子核反応を生じさせ、短寿命化もしくは安定な原子核へと核変換するという方法を提案したものです。さらに核変換する前に、核スピンを利用したレーザーでの偶奇分離法を組み合わせることで、効率良く核変換を行うことを目指しています。LLFPの一種であるパラジウムはレアメタルであり、安定な原子核に核変換することで、廃棄物の低減だけでなく、資源化をも狙うという野心的な特許になっています。本発明により期待される、地層処分場の容量の低減、処理用の大容量加速器とレアメタルのリサイクルの分野の発展が評価され、受賞に至りました。本発明は内閣府の革新的研究開発推進プログラムImPACT「核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化」の一環で行われました。

ImPACTプログラムでは、櫻井教授は兼務する理化学研究所仁科加速器科学研究センター副センター長として、核変換システムの評価や大強度重陽子加速器の検討などを進めています。下浦教授は、通常では製作困難なLLFP標的の代わりに、LLFPをビームとして生成し、様々なエネルギー領域で核変換に用いる核反応率の定量的評価を主導しました。理学的な観点から核変換に迫る本研究は、社会的貢献の観点からも、大きな期待が寄せられています。

平成30年度全国発明表彰「21世紀発明賞」  ※授賞式は6月12日に行われます。
http://koueki.jiii.or.jp/hyosho/zenkoku/2018/21ce.html


(文責:原子核科学研究センター 准教授 今井伸明)

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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