2016/05/17

地球が地球である理由

 

東京大学大気海洋研究所

東京大学理学系研究科

 

概要

東京大学大気海洋研究所の横山祐典教授と尾崎和海特任研究員(現:ジョージア工科大学NASAポスドク研究員)、および米国ライス大学とイェール大学の合同チームは、大陸地殻の成長と大気中酸素濃度の段階的上昇の間に密接な因果関係があることを、地球科学的情報の統合的解釈(ジルコン年代、熱力学平衡計算など)、および地球表層圏についての炭素循環モデルを駆使することで明らかにしました。

チームはジルコン(ZrSiO4)と呼ばれる鉱物のウラン−鉛年代測定(注3)結果の再解釈や岩石学的考察などを行い、およそ27−25億年前にかけて大陸地殻の組成が苦鉄質から珪長質へと変化したことを突き止めました。これは、プレートの沈み込みに伴い地球内部に大量の水が供給されるようになった結果引き起こされたと考えることができます。苦鉄質岩石は珪長質岩石に比べて酸素との反応性が非常に高いため、珪長質の大陸地殻が形成されるようになったことで大気中の酸素消費が激減し、GOEが発生したと考えられます。

図:本研究で提唱した地球史における酸素の濃度変化と固体地球の関係の概念図。27-25億年前にプレートの沈み込みが開始する事で珪長質の大陸地殻が形成されるようになり、これが酸素の消費量を激減させる事でGOEが生じる。固体地球から表層へと供給された炭素の多くは大陸棚に堆積し、地球内部には再循環しない。大陸地殻の炭素リザーバー増大は数億年の時間スケールで大気海洋系への炭素流入フラックスを増大させ、遊離酸素の生成率が時代とともに上昇する。一方、酸素の主な消費プロセスである岩石中の有機物の酸化風化は母岩からの有機物供給率(浸食率)によって律速され、酸素の生成率が最大消費率を上回るようになると2度目の急激な酸素濃度の上昇(NOE)が発生する。

 

さらに、プレートテクトニクスの確立後、地球表層圏の炭素リザーバーが増大する必然的帰結として2度目の酸素濃度上昇イベント(NOE)が生じることを、数理モデルを用いることで明らかにしました。NOEは、複雑な形態をした動物群の進化・多様化が生じたエディアカラ動物群の出現やカンブリア爆発(注4)と関連しているといわれています。

こうした結果は、プレートテクトニクスに伴う超長期(億年スケール)かつ惑星規模の物質循環によって地球が富酸素な大気、ひいては高等生物を宿す惑星となっている、との新しい地球観を示しています。

 

詳細については、東京大学大気海洋研究所のホームページをご覧ください。

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

  • このエントリーをはてなブックマークに追加